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がん分子標的治療研究会

ごあいさつ

がん分子標的治療研究会は、今年設立10周年を迎えました。本研究会は、「胎動期にある分子標的治療を大きく発展させること」を目標に1996年に設立されました。以来、基礎および臨床の研究者に情報交換と討論の場を提供してまいりました。また、本研究会が核となり、トランスレーショナルリサーチワークショップを過去4回にわたり開催し、トランスレーショナルリサーチ推進の重要性を訴える活動も行ってきました。現在会員数約一千名の研究会に成長致しましたのも時代の要請によるものと思われます。この間、ハーセプチン(1998年)、グリベック(2001年)、イレッサ(2002)、ベルケード(2003年)、アバスチン(2004年)などの分子標的治療薬が相次いで開発され、今まさに分子標的治療時代が到来した感があります。しかしこれはまた、ちょうどマイルストーンの時期が来たとも見られます。すなわち、開発された分子標的治療薬の有効性、安全性をきちんと評価し、併用も含めより良い使い方を考えること、より有望な標的を求め新しい分子標的治療薬を開発する戦略をたてることなど、今あらためて分子標的治療の方向性を確認する時がきたと感じられます。そこで、第10回がん分子標的治療研究会総会は、「創薬の新世代へ」を主題とし、本研究会のマイルストーンとなるものにしたいと存じます。

ヒトゲノムが明らかにされたのち、ケミカルバイオロジーの創薬への応用が注目されています。ケミカルバイオロジーは化学を出発点に生命現象の解明をめざすもので、これがゲノム研究とドッキングして遺伝子産物に対する網羅的阻害剤、活性剤を探索するケミカルゲノミクスへと発展しつつあります。また、プロテオミクスに立脚した診断・治療のバイオマーカー開発や、ドラッグデリバリー技術の開発も盛んです。このような流れも考慮したプログラムを企画しました。

本総会には、製薬、臨床、アカデミアなど各界からがん分子標的治療薬の創薬をめざす研究者が集います。この皆さまに限られた時間内で実質的な交流と討論の場を提供することこそ本総会のミッションと考えます。そこで、交流と討論の場として本総会ではポスターセッションを重視いたします。

記念すべき第10回の本研究会総会の会長をつとめさせていただきますことは、たいへん光栄なことでありますが、同時に重い責任を感じております。実り多い会とするためにみなさまのご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

第10回がん分子標的治療研究会総会
会長 矢 守 隆 夫
(財)癌研究会癌化学療法センター分子薬理部